それゆけ演劇団

今日は銀水氏が脚本を担当したとゆー、サークルの演劇披露に行って参りました。いやはや、若いっていいなぁー。薔薇マリーです。


しかし、若いよりもニートがうらやましい(見た人のみ通じるネタ)

そんな訳で、文学知能を刺激された薔薇マリー、日常打壊シリーズ第三弾でお迎えするぞなもし!


日常打壊シリーズ第三弾「扇風機」

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俺が、この私立高校に入学して早半年。巷では、総生徒数1206人で、一学年男女それぞれ約200人ずつの共学制。偏差値の割りに文武両道を掲げ、品行方正の評判を受ける普通の学校。公立の高校の受験に失敗し、保険で受験した学校の中で、唯一合格したこの高校に入学した。

ここまでは、いわゆる普通の下りかもしれない。しかしそれは去年、いや、俺の入学する前までの評判だったりする。なぜなら、今の巷での評判は「人食い学校」と呼ばれ、ある特殊な事件が起こっているのだ。

事件の内容は至って単純明快。その名の通り、この学校の生徒が食われているのだ。そう、今や総生徒数1079人。この半年間での生徒の減少は、全て行方不明によるものなのだ。不思議な事に、その行方不明者は121人が男子生徒。女性とは、ほんのわずかでしかない。

しかし、これだけの生徒数がなぜまだ学校に通っているかと言うと、最初は一人、また一人と行方不明者が出現していた頃、学校の異常をいち早く察知した退学者がこちらも一人、また一人と出現した。まだ学校が続いている原因は、その退学者にある。こちらも片っ端から退学した翌日に、行方不明になるのだ。

事態を重く見た学校は、一時高校閉鎖を決定した事もあった。しかし、高校は事件が解決するまで一時閉鎖されるはずが、閉鎖前日に校長が行方不明になったのだ。その時だけは異例で、校長室に置き紙があったらしい。

「この学園を閉鎖、または休校にした場合、被害者の数は増えるだけだと思へ」

そして自然と生徒たちは、決して一人で行動しないなどの対策をとり、一時的に被害は減少した。が、ほんのちょっとの隙は、必ずある。その隙を突いて、今でもまだ被害は増加の一途を辿っている。むしろ、二人で行動している者が突然居なくなることも、最近では珍しくなくなってきた。

そんな学校で毎日を過ごしている中で、ある日その女は俺に声を掛けてきた。


「ねぇ、ちょっといいかしら?」

「ん?なんだ?」

「ちょっとわたくしと、こちらへ一緒に来て頂けないかしら?女の子の一人歩きは、物騒でしょ?」

「…そりゃそうだが、女の被害はここ最近起きていやしない。一人でも、そんなに問題でもないだろう。その前に、お前誰だっけ?同じクラスか?」

上履きを見る限り、同じ学園なのは確かなのだが、俺はこいつの顔を知らない。多分、同じクラスではないはずだ。しかし、こいつは一体…?

「あら、失礼ね。クラスは違うけれど、女性の頼みをそんな無碍に断るとは、最近の殿方も可哀想に」

「なんだと!いきなり何なんだよ!お前!」

「いいから、わたくしはお手洗いに行きたいの。ついてらっしゃい」

生意気な女は、そのままスタスタと先を歩き出す。
…何なんだ!この女は!

しかし、男としてこのままほおっておく訳にもいかず、仕方なく後を追いかける。でも、お手洗いに男を連れて行くかぁ?普通…。


「さぁ、お入りなさい」

「……は?」

「だから、お入りなさいと言ってるのよ」

「お入りなさいって、ここは女子便所じゃないか!お前、頭大丈夫か?」

「もしも中で、何かあったらどうされるの。貴方がここまで来た意味が、まるでないのではありません事?」

「そりゃ、そうだが………って、いや、それでもおかしい!」

「…ふぅ、頭が固い殿方ですのね。わたくしなら気にしませんから、どうぞお入り下さいな」

そう言うと、その女は俺の手を掴み、女子便所へと俺を引き込む。…っ痛。意外と力あるな、こいつ。

俺の意思とは関係なく、この女のペースで物事が進んで行く…。タスケテー。


たかが扉一枚。されど扉一枚。俺が普通に普通の高校で学園生活を送っていたら、三年間決して入る事はなかったであろう、女子便所へ俺は脚を踏み入れた。おぉ、ここが秘密の花園か!と言う程大したものではなく、そりゃあまぁ、どうしたってトイレはトイレなのだ。

「さて、ここへ呼んだのは他でもありません事よ。わたくしは、学習しましたの」

一体何を言い出すかと思ったら、訳の分からないことを口走る。つか、お手洗いじゃなかったのか…。

「わたくし、おもちゃでちょっとはしゃぎ過ぎてしまって、ついうっかり100人以上の方を葬ってしまいましたが、それはとても勿体無い事。そうよね、おもちゃがそんなに簡単に手に入ったら、世の中苦労だなんて言葉はありませんものね」

俺が困惑している最中、女は自分の世界に浸っているらしく、次から次へ意味不明な事をしゃべっている。

「でね?わたくし、今度のおもちゃはちゃんと遊べるまで鍛えてから、そしておもちゃとして使おうと思うの。じゃないと、命の無駄遣いですものね。勿体無いわ。今までの経験で、自ら学習しましたのよ?さすがわたくしですわ」

「………あの」

「おだまりなさい!今、いい所なんだから!」

「………はい」

「よろしい。と、そういう訳で、明日からと言わず、ましてや今日からと言わず、今から死なないようになって頂きます。自力で」

「………はい?」

「わたくし、恥ずかしながら、手に入れたあらゆる銃火器で、人を死なないようにいたぶるのが趣味なの。それで、いままでこの学校の様々な方に協力して頂いていたのですが、みなさんあまり頑張れないもので、すぐに逝ってしまわれますの。それだと、折角の楽しみがすぐに終わってしまって、全く面白くありませんわ」

「…あの、一体何をおしゃ…」

「おだまりなさいと何度言えばわかるの!…全くもう!」

逆切れだ。と言うより、一体なんだ!?この女の話は、まるで今までのこの学校の事件の張本人は私ですと、言っているものじゃないか。とゆー事はつまり、……俺、さらわれる?

「だから、今より私の屋敷で、死なない特訓を死なないように頑張って頂きますわ。ふふふ、頑張ってね。気を抜いたら、即死にますわよ。とりあえず、散弾銃を避けられるようになって下さいましね」


それから俺の、地獄の毎日が始まった。

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補足を入れると、ある財閥のお嬢さんが、銃火器を人に向けて撃って、それを必至で避ける人を見るのが趣味って物語(のつもり)主人公をターゲットとするまでは、学校の男子生徒を捕まえては趣味で射殺していたため、日に日に男子生徒の数は減っていたのです。

で、親から「高校に入るまでは、使用人で我慢しなさい。高校に入ってからなら、一般人にも手を出しても良いぞ」と言われ、ついに迎えた高校デビューで、その狂った趣味の為の人さらいが始まったと。

うーん。これはゲーム化無理ですね。むしろ、自分で書いててどこに萌えて、どこに恋愛要素があるのかがさっぱりわからない(笑)


まぁ、寄り道しましたが、銀水さんお疲れさん。中々良い出来でしたよ。